ハイジさんは、初めて出会った時から得体の知れない人だった。
初対面なんてものはまあそんなものかもしれない。
けれども、時が経つにつれてますます得体が知れなくなっていったのはハイジさんくらいだ。
それはあの人が、自分の過去を話してくれない悲しい距離感だとか、そう言ったものが色々とない交ぜになっているせいかもしれないけれども、それでも信じるに値する人だと思った。
「ハイジさん」
「カケル」
だって。
声をかければ笑みと共に返される自分の名前。
それはかつて渇望しながら唯一与えられなかったものだ。
こんな自分でも受け入れてくれているこの事実があれば、オレはあの人を信じられる。
共に走れる一年間の締め括り。
足を引き摺りながらゴールテープを切ったハイジさんは、誰より眩しかった。